第3回 子犬の馴致とは?
『馴致(じゅんち)』という言葉を知っていますか?
辞書で調べる【なれさせること。なじませて、次第にある状態に達するようにすること】とあります。今回は子犬を『馴致』することについてお話しさせていただきます。
◎子犬をいろんな刺激に慣れさせる訳
3回目のワクチンが終わって一週間経つまでは外に出してはダメ!と思っていませんか?
そもそもその考え方が実はNG!!なのです。
以前にも書いたように、子犬の成長はとても速く、生後1年で成犬になるばかりか、半年未満で人格(犬格?)がほぼ形成されていきます。
3回目のワクチンが終わるまで待っていては、色んな刺激に慣れるためにもっとも大切な8週~12週の期間を逃してしまいます。この時期に色んな刺激に慣らしておかないと、生まれもって臆病だったり、怖がりだったりする子犬は、成犬になっても慣れず、怖いがために警戒心からよく吠えるようになってしまったり、内弁慶な性格になってしまったり、中には恐怖から逃れるために知らない犬や人に対して非常に攻撃的になってしまうケースもあります。
また、色んなところに触られることに慣れていなければ、ちょっとしたことで、飼い主さんに歯を剥いてきたりしてしまうケースが多いようです。このようなことは成犬になってから治そうと思っても、大変な手間と、根気が必要になってきますし、何よりワンちゃんにかかる負担も多くなってしまいます。ですから、『馴致』していくには、早い段階で取り組んでいかなければならないのです。
しかし、子犬にただただ、体験させていけばいいというものではなく、ある鉄則があります。それは、「トラウマになるような恐怖を与えないように慣らしていく」ということです。子犬期に経験したことは、その子の一生を大きく左右していきます。私も自分の家のプードルに子犬の時、大きな心の傷を作ってしまい、失敗したことがあります。
その話は後ほど…
◎人に触られることに慣れさせよう
まず、人から触れられることに慣れさせていきましょう。子犬の時期は大体の人が、おっかなびっくりで触ったり、割れものを扱うような触り方をすると思いますが、結構大胆な触り方をしても大丈夫なものです。
先輩のトレーナーから、子犬は幼稚園児や、小学校の低学年の子に預けたほうが性格がよくなると教わった事があります。子どもたちは子犬に遠慮なく、しかもしつこいぐらいに触ります。そのようにして育つと、どこに触られても平気で性格のいい子に育つそうです。ですから、飼い主さんにも怪我をしない程度に色んなところを遠慮なく触ったり、引っ張ったり、抱きしめたりしていってもらいたいと思います。
ただし、新しく家族に迎えたばかりの子犬に対して一日目からしつこく、むやみやたらといじくりまわすのはやめましょう。子犬にとっては、はじめは飼い主さんも知らない人ですから、しっかりと新しい環境に慣れて、飼い主さんを認識するようになってから、触られることに慣らしていったほうがよいでしょう。知らない人に慣れてもらう場合、近所の方や、お散歩仲間に、小さい時期から、触ってもらったり、ちょっとだけご褒美をもらったり、時には配達の方にも触ってもらったりして、積極的に知らない人になれさせ、触ってもらうことはいいことだと教えてあげましょう。
◎どんどん外に出そう
どんなワンちゃんでも、人間社会は自分より巨大なものばかりですし、聞いたこともない音や、見たこともないものばかりです。飼い主さんは考えうる限りの刺激に子犬を慣らしていかなければなりません。まずは、外に連れ出すことからです。きっちりリードをつけ、外を歩かせます。はじめは紐で繋がれることを嫌がる子もいるでしょうし、アスファルトの感覚や、砂利道の感覚にびっくりして動けなくなる子もいるでしょう。そんな時は、ワンちゃんが立ち止まろうとも、ぐいぐい引っ張ってとにかく歩いてください。ちょっとかわいそうな気もしますが、少したてばすぐに慣れてくれるはずです。
また、ご褒美を使って歩かせるのもいいでしょう。この時にワンちゃんが止まるからといって、待ってあげたり、抱っこしてあげたりしていると、自分のわがままが通るものだと勘違いする可能性がありますし、飼い主さんを甘く見始めるようにもなってきます。もし、ワクチンがすべて終わっていなくて、病気のことが心配なのであれば、キャリーバック等に入れたり、初めから抱っこしたりして、外の環境を体験させていくだけでもいいでしょう。
また、リードをつけて連れ出すのであれば、拾い食いに十分気をつけて、他のワンちゃんが、よく排泄をしていそうな場所は避けるようにしましょう。このようにしてどんどん外に連れ出してください。そうすることで、車、バイク、自転車、知らない人や犬、たくさんの刺激に慣らしていくことが出来、困ったワンちゃんになるのを予防することができます。
◎他の犬達に慣れさせよう
他のワンちゃん達に慣れさせたいとき、一番いいのが兄弟犬と遊ばせることなのですが、そういう会を開いてくれるブリーダーさんのところから貰ってきたりしないとなかなか難しいことです。
かといってドッグランに連れて行き、いきなり放して「みんなと仲良くしておいで」といっても、土台無理な話です。一番いいのは、性格のいいワンちゃんの飼い主さんと仲良くなって、少しづつ遊ばせていくのがベストだと思います。しっかりと成犬になっているワンちゃんだと子犬に対して非常に我慢強いですし、子犬がしつこくしすぎるとしっかり叱ってくれるものです。
この様にして徐々に遊べるワンちゃんの輪を広げていくことがいいと思います。私も前に、飼っているプードルの子犬を、犬に慣れさせようとして、ドッグランに連れて行き放した事があるのですが、ドッグランという場所は実に様々な飼い主さんとワンちゃんがいるところで、中には他の犬にあまり良くないワンちゃんまで放されていることもあり、初めてドッグランに行った時に、うちのプードルの子犬が寄ってたかって他のワンちゃんにいじめられ、仕舞いには咬まれそうになるまでになり、子犬の心に大きな傷を作ってしまったことがあります。
それ以来知らない犬が駄目で、慣れてくれるようになるまでには結構時間がかかるようになってしまいました。子犬期に負ってしまったトラウマはほぼ一生ものだと思ってください。
『馴致』は必ずやっておかなければならない事ですが、子犬にとって安全かつ安心できる飼い主さんとなって、トラウマになってしまうような怖いことに重々気をつけて楽しく慣れさせてあげてください。
株式会社道楽 顧問ドッグトレーナー 長澤 拓真
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