2011年07月29日
第31回 間違ったワンコ達のしつけ方?(その2)
今回も前回と同じように、よく目や耳にする躾の方法についてと、最近私が気になっている事等をお話していきます。
●『すぐにいい子になる、魔法のような方法』って、ホント?
結論から言いますと、そんなものはありません。本当にあるのなら是非私も学びたいものです。
以前、2秒で無駄吠えが治るという動画を見た事があるのですが、知らない人に対して吠えているダックス。けたたましく吠えている時は飼い主様が扱っている状況でした。次に2秒で吠え癖を治すとおっしゃっているトレーナーがそのダックスちゃんを持って、再度挑戦。知らない人が近づき吠えはじめた瞬間、ダックスちゃんにショック(首に強めの合図を送る)をしているだけでした。確かに吠えるのはその瞬間はおさまります。が、これは、魔法のような特別な方法でも何でもなく、犬のトレーナー・訓練士と呼ばれる方であれば、誰でも行なっている事ですし、その方法で完璧に吠えるのが納まるかというと、決してそんなことはありません。上手くショックをかけられない一般の飼い主様がリードを持った瞬間また吠えはじめますし、根本的な解決には何もなっていません。
実際、よくメディアに出てくるカリスマトレーナーさん(知り合いです)に「本当にあれで納まります?」と聞いてみると、「そんなわけ無いじゃん。」と返答が帰ってきました。つまり、視聴者にインパクトを与えるためだけの方法だと、御本人も認めております。
実際今まで関わってきた問題を抱えたワンコ達でも、一度トレーニングを行っただけで完全に改善されたワンコは一頭もおりません。改善されたワンコ達は全て、飼い主様が、ご自分のワンコの事を理解し、時には心を鬼にして努力してきた結果ですね。
●ペットショップの店員に言われた通り、マズルを抑えたり押さえつけて叱っていたら、噛むようになってしまったのですが?
この様な質問というか、相談を頂く事が結構多いです。
犬達としてはマズルを持たれると叱られる(自分にとって都合の悪い事が起こる)と思えば、必然的に防衛本能が発揮され、身を守ろうとするのは当然です。飼い主様がしっかりとワンコ達のボスになれている状況であれば、効果があるかもしれませんが、下に見られている状態では全くの逆効果ですし、さらに言うと、飼い主様から触られることに対して嫌な印象を受けてほしくないので、基本的にお勧めは出来ません。
確かに時と場合によっては犬達を叱るという事も必要で、書籍にも書かれてますし、獣医さんやショップの店員にいわれる事もあると思います。ただそれをするためには、自分の飼っているワンコの性格や、精神状態等をよく理解したうえで行なっていかなければなりません。
●最近のワンコのトレーナー(訓練士)事情!
これは非常に気になるところで、是非、一般の愛犬家の皆さんにも知っておいてほしい事なので書いておこうと思います。
ほんのひと昔前までは、犬のトレーナー(訓練士)という業種は、非常に認知度が低く、またトレーナーになる為には何年もの間、多くの犬達と共に生活する修業期間(非常に厳しい・・・)を経て、初めてトレーナーになれるのですが、最近では多くの民間資格が乱立してきて、実際にワンコを飼った事がない、飼育した事があるのも自分が今飼っているワンコだけ・・・というトレーナーも増えてきています。机上の理論だけで「トレーナー」と名乗れる時代になってきました。
また、こういう仕事をしているため、犬の業界に友人も多いのですが、友人がAHT(獣医看護士)として勤めている獣医さんの所では、行動治療と銘打って飼い主様のしつけのお手伝いをしているらしいのですが、飼い主様からの話を聞くだけで、実際に自宅でどの様な状態なのかも見ずに指示を出していくそうです。これでは治るものも治らないでしょう。まして、この行動治療を行っている獣医さんは犬を今まで一度も飼った事がないそうです。
今回お話した内容は、氷山のほんの一角でしかありません。悲しい事ですが、現時点でのワンコのトレーナー事情は、この様な感じになっています。
ですから、飼い主様にはワンコのしつけや行動に困った場合、病院のセカンドオピニオンや、インフォームドコンセントではありませんが、理論的にも的確でなおかつ経験豊富なトレーナーを見つけていただくのが、一番いい方法となるでしょう。
株式会社道楽 顧問ドッグトレーナー 長澤 拓真
第30回 間違ったワンコ達のしつけ方?(その1)
最近よく、インターネットやメディア等でも「あのやり方は間違っている。」「うちのやり方が一番。」等と、色々な躾の方法や情報が乱立してきています。実際に飼い主様達は何が本当なのかわからない状態の方が多いのではないでしょうか?
結論から言うと、犬の学習する仕組みの考え方と、犬の習性を理解している事、人間的な考えによる犬への押しつけさえなければ、どんな方法でも一緒です。それさえ守っていればどんな方法も間違ってはいないのです。
●ご褒美を使う方法はよくないの?
決してそんなことはありません。始めに犬が興味を示すもの、喜ぶものをきっかけに行動を教えていく事は、犬の理解を早めますし非常にいい事です。ではなぜ駄目だと言われているかというと、使い方に問題があるからです。多くの飼い主様を見てきましたが、ほぼ100パーセントご褒美の使い方がお上手ではありません。
ご褒美を持つ時は、必ず犬のおやつ箱のような所から、袋をガサガサさせて、ご褒美を取り出しますし、取り出しづらいポケットに一生懸命に手を突っ込んで、ご褒美を取り出します。これではワンコ達からすれば、今ご褒美を持っているかどうかがすぐにわかってしまいます。「いまは、おいしいもの持ってないからやらなくていいや!」になってしまうんですね。
また、ご褒美を使ってせっかく望ましい行動が出来るようになったとしても、ご褒美で釣ってやらせている状態でストップしている方が多いようです。ご褒美で釣って出来るようになったら、少しずつご褒美で釣るのをやめていき、ワンコが望ましい行動をとって初めて、ご褒美が出てくるように変えていきます。ワンコ達がいつでも「褒めてもらえる。いい事があるぞ!」と期待させるようにしていけば、何もご褒美を使うのが悪いとは言えませんよね?まぁ、理想は頭をなでたりしてちょっと褒めてあげるだけで、ワンコ達がすごく喜んでくれるのが一番ですけどね。
●叩いたり、痛い事したり、叱る事は良くないの?
最近ではどこもかしこも「陽性強化」、褒めてしつけます。というのが流行っていて、叱る事や、痛みで教える事が『悪』みたいに言われがちです(人間の子供の世界でも同じですね。)確かに、引っ叩いたり、怒鳴ったりすることは、お勧めできません。
しかし、よく考えてみて下さい。犬同士の遊んでいる場面や、群れで生活している動物(犬じゃなくても、TV等で動物番組やってますよね?)仲間の動物を褒めている動物ってみた事ありますか?(チンパンジー等が人間に教え込まれて頭ナデナデするのとかは別ですよ)決してないはずです。母犬が子犬に色々教え込む時も陰性強化ですし、子犬同士が群れでの社会性を身につける時も陰性強化です。実は、人間に関わっていないと動物達は褒められるという行為は一つもない事がわかるはずです。
ではなぜ叱る事が良くないといわれるのでしょうか?それは、人間が感情的にワンコ達を怒って精神的に追いこんだり、なぜそのような事が起こったのかを理解させないでただ痛みを与えてしまったりするからです。
人間の子どもだって理由も聞かずに一方的に怒るだけでは逆効果ですよね。「勉強しろ!勉強しろ!」と追いこんでいけば、絶対勉強しなくなります。しかし、幼い子供が熱い薬缶に手をかけて火傷したからといって、その子が精神的に追い込まれて立ち直れなくなるはずがありませんよね。次から熱くなっている薬缶に触らないように気をつけるだけですよね?
ワンコ達だって同じなんです。飼い主様がワンコの行動を治していくために、計画的に行いワンコが理解できる事であれば、目の敵にして叱る事が悪いとは言えないのです。逆に褒めていくだけでは動物としての成長過程での学習として、非常に不自然なものに私は感じますね。
株式会社道楽 顧問ドッグトレーナー 長澤 拓真
2011年05月26日 « トップへ » 2011年10月19日








